情シス外注で工数75%削減!成功事例と導入のコツ
総務省の調査によると、企業の情報システム部門はDX推進やセキュリティ対策など業務範囲の拡大により、慢性的な人手不足に直面しています。限られた人員で膨大なIT運用タスクを抱え、本来注力すべき戦略的業務にリソースを割けないという課題は、多くの企業で共通しています。本記事では、情シス外注によって工数削減を実現した具体的な手法や成功事例を紹介し、導入を成功させるためのポイントを解説します。

情シス外注で工数削減が注目される背景
情シス外注は、社内の情報システム部門が担う業務を外部ベンダーに委託することで、工数削減とコスト最適化を同時に実現する手段として注目されています。経済産業省の「DXレポート」では、2025年以降に最大で約12万人のIT人材が不足するという試算が示されており、自社内だけで運用体制を維持することが難しくなっているのが実情です。外注活用は、もはや選択肢ではなく、必要不可欠な経営戦略といえるでしょう。
情報システム部門の業務負荷の現状
情報システム部門は、パソコンのセットアップ、アカウント管理、社内ネットワークの運用保守、ヘルプデスク対応、セキュリティ対策など、多岐にわたる業務を担っています。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、情シス部門の業務量は年々増加傾向にあり、特にセキュリティ関連業務と社内問い合わせ対応が負荷の大部分を占めることが報告されています。こうした属人的な運用業務は、定型化されている一方で緊急対応が発生しやすく、計画的な業務遂行を妨げる要因となっています。
外注で削減できる工数の種類
外注によって削減できる工数は、主に以下の3つのカテゴリに分類できます。
- 端末管理業務:PCのキッティング、リース管理、ソフトウェアのインストールなど
- ヘルプデスク業務:社員からの問い合わせ対応、パスワードリセット、障害切り分けなど
- インフラ運用監視:サーバーやネットワークの監視、バックアップ運用、パッチ適用など
これらの業務は、いずれも発生頻度が高く、かつマニュアル化しやすい業務です。外部委託に切り替えることで、情シス担当者は企画・調達・セキュリティ戦略といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。また、情シス代行サービスを活用すれば、常駐型の委託と比較してコストを抑えつつ、必要な時だけ専門家の支援を受けられるというメリットもあります。
情シス外注で工数削減を実現する具体的手法
情シス外注による工数削減を効果的に進めるには、単に業務を丸投げするのではなく、各業務の特性に合わせた最適な委託手法を選択することが重要です。ここでは、実際に多くの企業で導入が進んでいる3つの手法について解説します。
PCリースやキッティングの外部委託
PCのキッティングは、新入社員の入社時期や拠点開設時などに発生する業務であり、一時期に集中する傾向があります。これを外部委託することで、繁忙期のピーク工数を平準化できます。具体的には、PCリース会社のサービスを利用すれば、端末の調達から初期セットアップ、納品後のサポートまでを一括で委託できます。例えば、従業員500名規模の企業で年に100台のPCを入れ替える場合、社内で実施すると年間で約1,200時間(1台あたり平均6時間、管理工数含む)かかっていた作業が、外注化によって約300時間まで削減できるという試算もあります。
モダンアーキテクチャ導入による運用効率化
オンプレミスのサーバー運用や従来型の端末管理をクラウドベースのモダンアーキテクチャへ移行することも、工数削減に大きく貢献します。Microsoft 365やMicrosoft Entra ID(Azure AD)などのクラウドサービスを活用し、デバイス管理をクラウドに集約することで、パッチ適用やソフトウェア配布の自動化、リモートワーク環境の即時構築が可能になります。IntuneなどのMDM(モバイルデバイス管理)ツールを導入すれば、IT管理者が手動で行っていた端末設定やセキュリティポリシーの適用が、遠隔から一括で実行できるようになります。これにより、運用保守にかかる工数を従来比で約50%削減したという導入実績も存在します。
ヘルプデスク・問い合わせ対応のアウトソーシング
社内のIT問い合わせ対応は、内容が定型化されているとはいえ、対応件数が多いほど担当者の負荷が高まります。ヘルプデスクをアウトソーシングすることで、一次対応をすべて外部ベンダーが担い、社内の情シス部門は二次対応やエスカレーション案件のみに対応すればよくなります。一般的なアウトソーシング契約では、月額固定費で対応件数無制限のプランを提供するサービスも多く、コストの変動リスクを抑えられます。また、問い合わせ履歴がナレッジとして蓄積されるため、AIチャットボットの導入など、さらなる自動化も進めやすくなります。
情シス外注の工数削減事例3選
ここでは、実際に情シス外注を導入して工数削減に成功した企業の事例を3つ紹介します。業種や委託範囲は異なりますが、いずれも戦略的なアウトソーシングによって、情シス部門の業務負荷を大幅に軽減した好事例です。
製造業A社:PC管理を外注し工数70%削減
国内に3拠点を持つ製造業A社は、これまで各拠点の総務担当者が兼任でPC管理を行っていました。しかし、拠点ごとに管理方法やセキュリティレベルが異なることが課題となり、PCリースとキッティングを一括で外部委託することを決定しました。委託先が選定した標準構成のPCをリースし、入退社時のセットアップ・回収・データ消去をすべて外注化した結果、端末管理にかかる工数は年間で約70%削減されました。さらに、セキュリティポリシーの標準化も同時に達成され、内部監査の工数まで削減できたといいます。
サービス業B社:ヘルプデスク外注で対応時間半減
全国に営業所を持つサービス業B社は、社員からのIT問い合わせが月平均600件以上発生し、情シス部門の3名が対応に追われていました。そこで、ヘルプデスク業務をアウトソーシングし、問い合わせの受け付けと一次対応をすべて外部委託しました。外部ベンダーが対応できる範囲を明確化し、マニュアルを整備して引き継いだことで、平均応答時間は従来の15分から3分に短縮、一次解決率は85%を達成しました。情シス部門は、複雑な障害対応やセキュリティ運用に注力できるようになり、問い合わせ対応にかかる工数は半分以下に減少しています。
IT企業C社:モダン化で運用工数75%削減
従業員200名規模のIT企業C社は、オンプレミスのファイルサーバーと従来型のActive Directory環境を運用していました。しかし、サーバーメンテナンスやバックアップ運用に毎月60時間以上の工数を費やしており、本業のソフトウェア開発リソースを圧迫していました。そこで、ファイル共有をMicrosoft SharePoint Onlineへ移行し、端末管理をMicrosoft Intuneへ集約するモダンアーキテクチャへ刷新しました。移行完了後は、インフラ運用にかかる工数が従来比で75%削減され、情シス担当者はセキュリティ強化や社内DX推進のプロジェクトへシフトすることができました。
情シス外注を成功させるためのポイント
情シス外注は、正しく導入すれば工数削減に大きく寄与しますが、失敗するとコストが無駄になるだけでなく、社内の混乱を招くリスクもあります。ここでは、導入を成功に導くための4つの重要なポイントを解説します。
業務切り分けと範囲定義のコツ
外注を開始する前に、自社で残すべき業務と委託する業務の境界線を明確に定義することが最重要です。経営判断が必要なIT戦略の策定や、予算管理、最終的なセキュリティ承認といったコア業務は内製に残し、定型的な運用業務や一次対応を外注範囲とします。業務切り分けの際には、フローチャートを作成し、どの業務がどのシステムに依存しているかを洗い出すとスムーズです。また、委託範囲に含まれない業務が発生した場合の追加費用の考え方も、事前に契約書へ明記しておく必要があります。
ベンダー選定とSLAの重要性
信頼できるベンダーを選定するためには、SLA(サービス品質保証)の内容を入念に確認することが不可欠です。具体的には、対応時間の上限、一次解決率、システム稼働率などが数値化されたSLAを提示しているかどうかをチェックしてください。契約前には、実際に担当するメンバーのスキルや教育体制も確認しましょう。また、日本語でのコミュニケーションが円滑かどうかは、トラブル時の対応品質を左右する重要な判断基準です。できれば少なくとも2〜3社から見積もりと提案書を取り寄せ、中小企業向け情シス代行など専門サービスの比較検討を行うことをお勧めします。
内製化とのバランスと移行計画
すべての業務を外注化するのではなく、内製で培ってきたノウハウや現場知識は意図的に残すことが長期的な成功につながります。外注化と同時に内部のナレッジが失われないよう、業務マニュアルを整備し、委託先と共通のナレッジベースを構築することを推奨します。また、移行は一度にすべて行うのではなく、パイロット部門や特定の業務範囲から段階的に開始し、問題点を洗い出してから本格稼働に移行するという計画的アプローチが有効です。
まとめ:情シス外注で本業に集中できる体制を
情シス外注は、単なるコスト削減策ではなく、限られたIT人材を本業の戦略的業務へ再配置するための有効な経営手段です。本記事で紹介した事例のように、PC管理やヘルプデスク、インフラ運用といった業務を外部委託することで、工数を50%〜75%削減できる可能性があります。
まずは小さく始めるスモールスタート
いきなり大規模な外注化を進めるのではなく、影響範囲が小さく、効果を測定しやすい業務からスモールスタートすることをお勧めします。例えば、PCキッティングのみを委託する、監視運用のみを委託するといった形で、小さな成功体験を積み重ねることが、全社展開への近道です。
工数削減効果を定期的に測定する
外注化の効果を継続的に確認するためには、削減できた工数やコストを定期的に測定し、KPIとして管理することが重要です。四半期ごとに委託前後の工数を比較し、効果が薄れている業務があれば、委託範囲の見直しやベンダーの再選定を検討してください。情シス外注は、導入して終わりではなく、効果を検証しながらブラッシュアップし続けることで、真の工数削減が実現します。
情シス部門の負荷を軽減し、デジタル変革やセキュリティ強化といった本質的な業務にリソースを振り向けるために、ぜひ外注活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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