コミュニティサイトの障害診断とハイブリッド改修を段階対応した情シス代行事例|購入前ミーティングから始める保守の引き継ぎ
制作内容
「自分のコミュニティのサイトが、なぜか急に動かなくなった」現場の話
コミュニティを運営している方の多くは、サイトを開発会社や知人エンジニアに作ってもらい、運用は自分で続けるパターンを取っています。「動いているうちは問題ない、止まると一気に詰む」 という構造は、企業の業務システムでもコミュニティサイトでも同じです。
今回ご紹介するのは、ウェルビーイング系のコミュニティサイトを運営するクライアントから、購入前ミーティングを起点に段階的に対応を引き継いだ事例 です。BENTEN Web Worksは、いきなり見積もりを出すのではなく、「まず話を聞いて、現状を把握してから対応範囲を決める」 という入り口を選びました。
なお、本記事は クライアントの許可を得たうえで、業種・規模感レベルに匿名化して公開 しています。
クライアント概要
- 業種: ウェルビーイング系のコミュニティ運営
- 規模感: 個人〜小規模
- サイト構成: モダンなフロントエンドフレームワーク(Next.js)+クラウドホスティング+クラウドDB
技術スタック自体は今どきの構成でしたが、運営者本人は技術詳細を把握しておらず、トラブルが起きた時に判断できる人が周りにいない 状態でした。
課題・依頼背景(Before)
- 投稿が二重に表示されるバグ: ユーザーがサイトを開くたび、同じ投稿が複数件並ぶ事象
- デプロイが通らない: 修正コードを反映しようとすると、ホスティング側で失敗する
- エラー画面の意味が分からない: 表示されるメッセージは英語のスタックトレースで、運営者には判断不能
- 相談できる相手がいない: 元の開発者と連絡が取りづらく、症状を伝えられる相手が必要
「コミュニティの活動が止まる前に、誰かに相談したい」というのが起点でした。技術力ではなく、まず話を聞いてもらえる相手が必要だった、という側面が強い案件です。
提案・解決アプローチ(思考プロセスを見せる)
ココナラ経由の問い合わせでしたが、最初に「購入前ミーティング」をご提案 しました。
案A: いきなり見積もりを提示
メリットは早さ。ただし、症状の全体像が見えていない段階で見積もりを出すと、後から「想定外」が必ず出る。クライアントにとっても私にとっても、信頼関係が損なわれるリスクが高い選択肢でした。
案B: 購入前ミーティング→診断→範囲確定(採用)
採用したのは、まず話を聞き、症状を整理し、対応範囲をクライアントと一緒に決めてから発注に進む というステップです。
- ミーティング: 症状を口頭で確認し、サイトを一緒に開いて現象を把握
- 診断フェーズ: 投稿重複の原因と、デプロイ失敗の原因を切り分け
- 対応フェーズ: それぞれを別件として段階的に着手
- 結果共有: 「直したこと」「触らなかったこと」「次に判断が必要なこと」を整理して報告
「買う前に話せた、買ったあと安心できた」という体験設計を、入り口から組み込んだ形です。
あえて採用しなかった選択肢
- フレームワーク全面更新の提案: バージョン差は確かに気になる箇所でしたが、いま動いているものを止めてまで更新する必要はない と判断
- ホスティング先の移行提案: 現状の構成でも症状は解決可能。乗り換えコストは「動かなくなった理由」にならない
- 「ついでだから」式の機能追加: 障害対応の温度感の中で機能追加を持ち込まない
「やらないことを先に決める」のは、これまでの保守案件と一貫した判断軸です。
実装内容

対応領域
- 購入前ミーティング: 症状の聞き取り、画面共有での現象確認
- 障害診断: 投稿重複バグの原因特定(クライアント側のステート更新ロジックに起因)
- デプロイ失敗の原因調査: ホスティング側のビルドプロセスでの依存解決の問題を切り分け
- 報告: 「いま直したこと」「触らなかった部分」「次に判断が必要なこと」を整理して提示
工夫した点
- エラーメッセージを「日本語の意味」に翻訳: スタックトレースをそのまま見せるのではなく、運営者の判断に必要な部分だけ抜き出す
- 技術用語を「身近な比喩」で言い換え: たとえば「ステート更新の不整合」は「サイトが訪問者の人数を二重カウントしてしまうメモ違い」、「依存解決の失敗」は「組み立てに必要な部品が一つ取り寄せできていない状態」のように、日常の言葉に置き換えて説明
- 図解と文章をセットで提示: 「いま動いている部分」「壊れている部分」「触らない部分」を簡単な図にして、文字情報だけで判断を迫らない
- 「触らなかった部分」を必ず併記: 自分が手を加えた範囲と、あえて触らなかった範囲を明確に分ける
- 次の判断材料を提示: 「このまま運用」「次回ここを直す」「将来ここを検討」の3段階で次の打ち手を示す
派手な技術ではなく、「コミュニティ運営者が、技術判断に巻き込まれない状態」 を作ることを重視しました。
成果
- 投稿重複バグの解消: ユーザー体験が安定し、コミュニティの活動継続を支えられた
- デプロイ失敗の解消: 修正反映が滞っていた状態が解消され、今後の改修が回せる体制に
- 複数回の継続発注: 購入前ミーティングを含めて段階的に発注をいただいた
- 「次に何を判断すればいいか」が運営者の手元に揃った: 次回相談時の前提共有が圧倒的に楽になった
定性面では、「技術判断に巻き込まれずに済んだ」 ことが、コミュニティ運営者にとっての一番の価値でした。サイトの中身ではなく、コミュニティの中身に集中できる時間を取り戻していただいた、という感覚です。
私の働き様
β:検討プロセス(一人称で振り返り)
エピソード1:購入前ミーティングを必ず挟んだ理由(→ ビジネスに寄り添う/思考プロセス)
ココナラの仕組み上、いきなり購入していただいて作業に進むこともできました。けれど、症状が見えていない段階で見積もりを出すと、後から「想定外」が必ず出る。クライアントにも私にも、信頼関係を損ねるリスクのほうが大きい。「買う前に話す」ことを、自分の中の標準フローとして組み込みました。コミュニティ運営者にとっても、購入前に人柄と進め方を確認できる安心感は大きかったと振り返ります。
エピソード2:フレームワーク更新を提案しなかった理由(→ ちょうどいい/ちゃんと動く)
技術者としては「いっそ更新しましょう」と提案したくなる構成でしたが、いま動いているものを止めてまで更新する必要はない。クライアントが必要としていたのは「コミュニティが止まらないこと」であって「最新版を使うこと」ではありません。ニーズと提案を取り違えない ことを、ここで自分に確認しました。
エピソード3:「触らなかった部分」を必ず併記した理由(→ ちゃんと動く/思考プロセス)
過去の保守案件で、「直しました」だけ報告すると、「他は無事なのか」「次に何を判断すればいいか」が分からない という不安をクライアントに残してしまった経験があります。今回は最初から、「触った範囲」「触らなかった範囲」「次の判断ポイント」を分けて報告 する形に統一しました。これだけでクライアントの安心感がまったく違います。
エピソード4:いきなり大改修ではなく「診断→暫定対応→恒久対応」の段階提案にした理由(→ ビジネスに寄り添う/ちょうどいい)
技術者の視点で全体を見ると、「ついでにここも直したい」「いっそ作り直したい」という大改修案は出てきます。けれど、コミュニティの活動は今この瞬間も動いている。止めずに進めるためには、まず診断で症状の輪郭を確定し、止血としての暫定対応を入れ、落ち着いてから恒久対応を相談する という順番が、いちばんクライアントの判断負担が軽い。「一回で全部直す」より「小さく確実に進める」を選ぶ のは、保守案件で一貫している判断軸です。
エピソード5:難しい話を「相手の言葉」に翻訳することを徹底した理由(→ ビジネスに寄り添う/思考プロセス)
技術用語のまま伝えると、クライアントは「分からない=判断できない=とりあえずお任せ」になってしまいます。お任せされた状態は一見ラクですが、後から「そんな話だとは思わなかった」がほぼ確実に発生する。だから、比喩・図解・短い言い換え を必ずセットにして、クライアントが自分の言葉で状況を説明できる状態まで持っていく。「分かったうえで判断してもらう」を、報告の最低ラインとして守りました。
α:コミュニケーション抜粋(自分の発言だけ)
クライアントとのやり取りから、価値観の軸が出ている自分の発言だけを抜粋します。
「購入前にミーティングをお願いしてもよいでしょうか。症状を一緒に確認してから、対応範囲をご相談したい ためです。」
「フレームワークのバージョン更新は、今回はあえて見送ります。いま動いているものを、症状の対応のためだけに止めるのは避けたい ためです。」
「今回触ったのは投稿表示のロジックとデプロイ設定の2点です。それ以外は意図的に触っていません。次に判断が必要そうな箇所は別途整理してお送りします。」
これらの判断軸は、保守を引き継ぐ案件すべてに共通して持ち込んでいます。派手な提案より、ちゃんと動いて、ビジネスに寄り添えて、ちょうどいい。
学び・横展開
このコミュニティサイト保守案件から整理できた、BENTEN Web Worksとして他案件にも応用している判断軸は3つです。
- 見積もりの前に話す: 症状が見えていない段階の見積もりは、後から必ず歪む
- 「いま動いているもの」は不用意に止めない: 更新は止める理由ではなく、止まる前に検討する話題
- 「触らなかった部分」を必ず併記: 不安は「直っていない情報」ではなく「分からない情報」から生まれる
コミュニティサイト・小規模ECサイト・社内ツールなど、「運営者が技術詳細を把握していない」現場すべてに、この進め方は応用できます。
関連サービス
「コミュニティサイトのトラブルを相談したい」「元の開発者と連絡が取りづらいので、引き継ぎ役を探している」「いきなり見積もりではなく、まず話を聞いてほしい」という方は、以下のサービスをご覧ください。
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